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2023年3月16日付けで学術誌「サイエンス」に掲載された論文
「1990年代以降は多くの国で、50歳未満での大腸がんの発生率が毎年2~4%ずつ増えており、30歳未満ではより顕著」
この論文では、増加の理由は明らかになっていないが、同論文では環境や遺伝などさまざまな説が挙げられている。また、検診受診率の低さや、がんを疑わないことによる誤診も原因の一つと考えられる。
「大腸がんは、もう高齢者だけの病気と考えるべきではありません」と話すのは、米ハーバード大学医学大学院教授で米マサチューセッツ総合病院消化器科副医長のアンドリュー・チャン氏だ。
特に心配されるのは、病状が進行した状態で診断される事例が増えている点だ。
「大腸がんの予防と早期発見には、大腸内視鏡というすばらしいツールが役立ちます。実際に(がんになる前段階の)前がん病変を見つけて取り除くことができるからです」と、「CA」に発表された論文の筆頭著者であり、ACSでがん統計調査の上級科学ディレクターを務めるレベッカ・シーゲル氏はそう話す。
早い段階で発見できれば、5年相対生存率は90%にのぼる。 大腸がんにかかる人がより若い人で増えていることを受け、米予防医学専門委員会(USPSTF)は2021年5月に、検診を受け始める推奨年齢を50歳から45歳に引き下げた。だが、シーゲル氏によると、大腸がん患者の約3人に1人は家族に病歴がある人だ。そのため、危険因子を持つ人にはさらに早くからの検診を勧めている。
「再び減少傾向に変わるまでは、適切な戦略を検討し続ける必要があります。より若い年齢での発症の増加を何とかしてくい止めなければなりません」とチャン氏は言う。
大腸がんのリスク要因とは 大腸がんを若い年齢で発症する可能性がある人を突き止めるには、遺伝要因のリスクスコアが役立つ。そのうえ環境要因との相互作用も考慮すればより効果が見込める可能性があると、「サイエンス」に発表された論文の著者の1人で米ダナ・ファーバーがん研究所の腫瘍専門医であるマリオス・ジアナキス氏は指摘する。
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ジアナキス氏は論文で、その要因の候補として砂糖入りの飲料や赤身加工肉の消費量が増えたことを挙げている。
他にも、抗生物質や、環境毒素がより広く用いられるようになったこと、帝王切開などの外科手術を受けた人の割合の増加などが考えられるという。
これらすべての要因は、「微生物叢(そう)」(マイクロバイオーム)に影響を与えるという点で共通している。
マイクロバイオームとは、人間の消化器官に生息する細菌などの微生物の総体を指す。
米ユタ州で医療サービスを提供する非営利団体インターマウンテン・ヘルスケアで消化器腫瘍の責任者を務めるマーク・A・ルイス氏によると、より若い世代で発症する症例の少なくとも一部は、小児期や青年期に抗生物質を使ったことと関連しており、この点は2019年に医学誌「Gut」に発表された英国での研究でよく示されているという。
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