酸素が猛毒ってどういうこと?2020/9/20投稿より

④人類最適食を探る
人類最適食を探るシリーズNo.17
酸素が猛毒ってどういうこと?
 私たちは、毎日呼吸によって酸素を取り込み、食べものからエネルギーを作り出すときに使用しています。もともとの私たちの先祖細胞は、酸素をエネルギー代謝に使っていませんでした。そもそも、生命誕生時には地球上に酸素はほとんど存在しなかったといってよいでしょう。細胞(生命)の化学的進化が進む中、光合成、つまり、水と二酸化炭素(当時大量に存在した)と太陽の光エネルギーを利用して糖(グルコース C6H12O6)を作ることができる細胞が誕生し、その代謝物として酸素が大量に産生されるようになったわけです。(約30億年前に誕生 植物細胞の祖先=シアノバクテリア)
 それ以来、地球上の生物は猛毒酸素の危険にさらされてきたといえるでしょう。その猛毒酸素を利用することで大量に、しかも効率よく、生体エネルギーを得ることができるミトコンドリアの祖先、α-プロテオバクテリアの登場は細胞進化の歴史を劇的に変貌させました。出会いは約20億年前といわれています。
 現在、ほとんどの生物はその細胞の中にこのミトコンドリアを共生させています。しかも、ミトコンドリアを利用するエネルギー代謝システムは共通するATP合成酵素を利用しています。
しかし、酸素を利用して高次元のエネルギー代謝を行っていても、酸素が生体にとって猛毒であることに変わりはなく、「抗酸化」「酸化還元」はなくてはならない作用の一つです。
活性酸素とは?
通常の酸素は電子を8つ持っていて、2つで1ペアという構造ですが、活性酸素はそのようなペアになっていないので、常に”電子を欲している状態になっており、他の物質から電子を奪ってしまう=酸化を激しく発生させます。特に、酸化作用を強く持った一重項酸素、スーパーオキシド、二電子還元種である過酸化水素、ヒドロキシラジカルなどの活性酸素は、その強力な酸化力で生体内部に激しく阻害を与えます。適度適量な(酸素を利用するエネルギー代謝において通常2%発生する)活性酸素は、望まぬ侵入者に対する、いわば、免疫作用を持つわけですが、現代社会の構造から、紫外線、大気汚染、有害電磁波、たばこ、激しいスポーツ、ストレス、医薬品、排気ガス、加工食品、食品添加物、殺虫剤、X線(レントゲン)に暴露されることが多い暮らしにおいては活性酸素が増えがちです。活性酸素が増えると、皮膚のしわ、しみやソバカス、生活習慣病、白内障、関節炎、認知症、腐敗、劣化、老化、疲労、病気(がんや糖尿病)という結果が表れます。
 この活性酸素に対応する抗酸化作用を強く持つビタミンCの合成酵素をヒトに向かった霊長類は失活しています。人体中の抗酸化成分で最も量が多い物質は尿酸です、哺乳類においては血中尿酸量が多い程寿命が長いという研究報告があり、人類と一部の霊長類は、尿酸分解酵素を進化の途中で不活性化しています。
そもそも、
抗酸化、酸化還元ってどういうこと?
還元とは、哲学的に言うと(笑)、物事をもとの形、性質、状態などに戻すこと。酸化還元は、科学的に言うと、電子が増えることであり、抗酸化は、電子を奪われないようにすることであり、酸化還元は、電子を増やすことです。電子が増えるほど酸化還元は促進されます。では、電子を増やすには、具体的にどうすればいいのでしょうか?要するに、電子を多く摂ればいいということになります。
どうやって電子を摂ればいいのか?
炭素率の高い食べ物を摂るという方法があります。炭素は電子を集めるので還元が促されます。炭素率の高い食べ物は野菜や果物、海藻類などです。また、言い方を変えると、ビタミンC、ビタミンE、亜鉛、ミネラル、ファイトケミカルのカテキンなどを多く摂る。つまり、野菜や果物、海藻類など、おなじことですね。

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